Like a Butlerが各地で壊滅しているようですが、今日はこれに至った理由を「AXLはなぜ支持されたか」というタイトルで考察してみたいと思います。つっかかりにくい理由があったりしながらもようやく支持されるところまできているんじゃないだろうかという風に思いますので、思ってることを取りまとめてみました。AXLファンのギルですが、PC版恋楯から入った人間ですので、厨夏のころからのファンの方からすれば「おこがましい」と思われてしまうかもしれませんが、可能な限り書いてみましたのでごらんいただければ幸いです。

正直、卒論書くよりも頑張って書きました(ぉぃ







・AXLってどんなとこ?
私がどれだけAXL瀬之本久史の絵が好きでもAXLというブランドは、このエントリーを書くに当たってはこのようなことから書き始めなければいけないところにいるというのが現状なんだろうなと思います。今回「Like a Butler」が初回出荷で品切れを多くしているのは事実ですが、日にちが経ってショップのランキングが出てきた際に月間で一番上に立っているかといえば、それはおそらく無い(オーガスト的な意味で)でしょうし、中堅的な位置にまでようやくきたところというのが正しい解釈だと思います。

もともと「すたじおみりす」の姉妹ブランド「すたじおみりすぺれっと」というチームでチュートリアルサマー(以下「厨夏」)という作品でデビューした後に独立してできたのがAXL。この流れでいくと今作Like a Butler(以下「LaB」)は6作品目になるのだが、「AXL 5th Product」と銘打たれているのは厨夏が「すたじおみりすぺれっと」名義のためで、「AXL」名義の作品としては5作目という意味だからです(であるから厨夏のAXL公式HPでのナンバリングは"00"となっている)。AXLとしての3作目・恋する乙女と守護の楯(以下「恋楯」)がヒットし、ドラマCD[AA]アンソロジー[AA]、さらにはPS2に移殖[AA]となり、これに付随してライトノベル化[AA]にコミック連載(コンプエース)という幅広い展開をするまでに至っっています(この作品の発売時も発売当日に一般販売分が壊滅するという事態になっていた)。原画はすべてにおいて瀬之本久史が担当し、シナリオは北側寒囲と長谷川藍が交代で担当している。キーワードをあげるとすれば「牛」「嘘粗筋」「ゆかり教育」。

・「純粋に楽しかったといってもらえるようなゲームを作りたい」byGOU

これは『PC Angel neo』2008年4月号誌上で前作「PrincessFrontier」が巻頭特集されていた際のAXLのプロデューサーであるGOUのインタビュー記事にて本人が語った一文です。これがあくまでもAXLというブランドの方向性であり、これがこれまでの作品を作る上での根幹になっているということのようです。またこの直前には「どこどこがどう良かったと評論していただくのではなく」という前置きの上でこのように述べているのです。この狙いはどのような意図があるのでしょうか。思うに、直感的に「良かった」「面白かった」「楽しかった」という感想を持ってもらえるというということこそが何よりもプレイユーザーの印象に強く残るからではないでしょうか。

ここで、作品の発表から発売までの流れを上述のAXLの”ねらい”を汲み取って見てみることにします。


作品発表

各誌や店頭での販促展開、デモムービーの公開など

「面白そう」「楽しそう」

体験版マダー?

体験版公開

「面白かった」「楽しかった」

マスターアップ大丈夫か?

マスターアップ

さすがAXL仕事かっちり!

カウントダウン嘘粗筋マンガ公開

発売直前のちょっとした話題に。

発売

「面白かった」「楽しかった」

次マダー?

(以下ループ)


これを何作にも渡ってテンポ良く続けてきた結果、ユーザーの熱を冷ますことなくそれをそのままAXLの評価につながったのではないかと。ただ、この一見簡単そうな流れがとても難しいわけですが、いくつかこれに必要な点を挙げてみましょう。
・楽しいゲームを作る
まぁ私が他にどう書こうとも作品が面白くなければ話は始まりません。AXL作品は私の贔屓目を抜いても評判は上々の様に思います。
・延期しない
そうです。上の流れを見て判るように「面白かった」「楽しかった」には2つのパターンがあって、体験版をプレイした後と製品をプレイした後の2回になります。このうち体験版のプレイ後というのは大抵発売前の時にやる人が多いでしょうから発売前の品定めという意味合いで、発売に対する期待や高揚感というのが一段と増している状況です。そしてこの状態を発売日まで保ってもらい買ってもらうところまでつなげなければならないのです。7,8千円もするものですから、惰性だなんだといって易々と買えるものではありません。エロゲ始めたばかりのようなユーザーであればなおさらです。しかしこの高揚感・期待感に「この水差し野郎!」とばかりに醒めさせてしまうのが 延 期 の二文字。

昨今、延期を続けるメーカーがいくつあったでしょうか。数えるのも億劫です。まぁだからといって延期せずにゲームですらないものを出す(ドコとは言いませんよ?)というのもよろしくないですが、まぁそれは置いといて。せっかく高揚感が増したところで延期となると各所にていろいろと影響が出てくると思います。ショップにおいては販促展開、ユーザーにおいては資金繰りなどです。ライトな層などは醒めた後に別の興味を持ったソフトへと購入を移すかもしれません(なぜならライトであるがゆえにそんなにポンポン買わないから)。予約を既に済ませてる人たちは嘆くことでしょう「予約券が貯まっていく」と。そしていざ発売となっても本当に売れるかといえば・・・まぁモノによりますけど少なくとも予想してた100%の結果にはなりえないであろうと思います。

そんな昨今のエロゲ業界で、延期したことが無い(アルケミストのPS2版恋楯除く)のがAXLです。体験版の配布やマスターアップがいつもギリギリなのでファンをやきもきさせてはいるものの、「妙子がAXLをサポート」「リュウがAXLに左遷」「奏のスペシャルテク」(※いずれもマスターアップ告知マンガより)などによって延期することなく発売にこぎつけている。こうして高揚感を高め続けたことがファンの獲得に繋がったり、一種の安心感のようなものになり「もう、地雷はイヤだ(TдT)な人の為のAXL」といったような言葉につながっていると思います。
・高揚感を次回作につなげる
「面白かった」「楽しかった」のもうひとつ、発売後のケースの場合、「次マダー?」から「次回作発表」までの間も話題を少しでも作っておく必要があると思います。ファンを飽きさせないことですね。この場合AXLだとコミケやドリパで配られる小冊子がそれにあたるかと。コレまでの作品でネタ満載の内容がファンの間ではすこぶる評判なモノです。ところで「私の言葉を聴いてください by松田理沙」発売はマダですか?

とまぁこういった点をクリアし続けてきて今の位置があると言っていいでしょう。

・魅力的なサブキャラ

AXLではサブキャラクターもなかなか良いキャラなところがあります。
青空の下でさまのところで行われたLike a Butler発売前人気投票ではモブキャラのコックさん(シェフ)が5位なんていうようなこともあったり、当サイトの恋楯人気投票では

1位:山田妙子(如月修史) ← 主人公。もちろん男
2位:真田設子 ← 紹介順4番目
3位:穂村有里 ← 紹介順5番目
4位:春日崎雪乃 ← 紹介順1番目。
5位:課長 ←サブキャラ。男。

特に1位と2位は切磋琢磨していて、妙子には釘宮補正かかってるところもあるかもしれませんが、まぁなかなか無いですよね、サブ(男)や主人公がヒロインより上なんてこと(蓮未だに1票とか可愛そすぎるorz)。このようにランキング見ていただいてわかるようにユーザーの反響がいいサブキャラクターが作中に結構居るのがAXL作品の特徴。ヒロインたちと主人公だけでキャッキャしてるようなものとはちょっと違うわけです。【少し追記】妙子の人気については発売直後から今と同じような人気の勢いでしたので、「釘宮補正」は微々たるものであることも付け加えておきます。

・瀬之本久史の描く画

しばし瀬之本久史の描く画というのは「クセが強い」と言われますし、「昆虫絵」なんて呼ぶ人も中には居ます。まぁ確かにパッケージだけ見ると前作PrincessFrontier(以降プリフロ)などはたしかにちょっと新規の人には好み分かれそうな感じだなとは思いましたけども。ただ私自身、恋楯のときの作品紹介で絵を見てそれこそ「ビビッ」ってくるくらい衝撃を受けた人間なものですから、つまり好みのドンピシャすぎてこの画に関してはあまり中立的な意見を述べることができません。なので「誰かヘルプミー!」というのが正直なところなのですが、その「クセのある画」で一見敷居が高そうな中でその敷居を下げているのが、同じく瀬之本久史が描くSDキャラクター。んーそうだなぁ、とりあえず湯のみの記事参照してください。作中のカットインなどでよく見かけるSDキャラ達は可愛らしく描かれており、ここの作品の魅力のひとつになっています。「デフォルメイラストなどもあったことで今では見慣れたものですけれども。」というゼロフォーさんの言葉に見て取れるように、SDキャラが多少クセのある画への抵抗感を和らげる効果がどうやらあるようです。

・嘘粗筋

さて、せのぴー絵の特徴が先に述べたようにあるわけですが、マスターアップ以後、発売日までのカウントダウンとして「嘘粗筋」と呼ばれるパロディーマンガが公開されます。瀬之本久史のチョイスでアニメやマンガのパロディーマンガが作られ、出来上がるまでは他のスタッフすら感知してないらしいとのこと。各ヒロイン分だけ用意されているのですが、パロディーする上でヒロインの性格などは容赦なくパロディー元に変換され、出来のよさにファンからの評価も高く、一部では「発売よりもこっちのほうが楽しみ」とすら言われるほど。嘘粗筋に評判が行き過ぎてその下にあるカウントダウンボイスに気づかない人も多数いた。ともかく、この嘘粗筋でやられた人も結構いるんじゃないでしょうか。

・ゆかり教育
今やAXLといえばゆかりであり、ゆかりといえばAXLといっても過言ではないでしょう。もちろんゆかりとは青山ゆかりのことであり、これまでのAXL作品への出席率は100%。AXLも青山ゆかりの器用にはこだわっている模様であり、かつてコミケで販売された私の言葉を聴きなさい!は別名「ゆかりCD」「革新的な(ゆかり教育用)教材」と呼ばれるとおり、厨夏から恋楯までの青山ゆかり担当ヒロイン総出演で、ダメオタクやダメ人間やダメな怠け者やダメ庶民やダメAXLクリエーター&ユーザーにツンデレで声をかけつづけるというトンでもないものまでリリースしたほどであり、ゆかり信者の集うところでの評判は他メーカーの似たようなCDと比べてもすこぶる高い。両者の関係性の深さは某所において稀に青山ゆかり板がAXL板のような様相になり、AXL板が青山ゆかり板のような様相になることから見てもうかがい知ることができます。青山ゆかりファンという固定の層の支持が厚いのがAXLなのです。(余談ですがPS2版の恋楯の追加ヒロイン・綾小路若菜の担当が田村ゆかりなのですが、これは偶然なのかはたまた必然なのか・・・)

・お口の恋人

いくら楽しい作品といえど、アダルトゲームですからエロいところがなおざりになってしまってもいけません(エロなんてイラネーヨ的な意見はは置いときましょう)。AXLってこっち方面ではどう評価されているかといえばとりわけフェラシーンにこだわりが入っていると思います。サンプルボイスあたりを紹介していただければそのあたりわかっていただけるんじゃないかなと思いますけども、たまに「お口の恋人」と称される由縁ではないかと。


とまぁこういったふうに書いてきましたが、いつも懸念されていることがひとつあります。先にもちょろっとだけ述べてるんですが、
・ギリギリすぎる
という点。なにがといえば、体験版の公開や店舗特典の公開、マスターアップの告知です。いつもファンはこの点に関してはハラハラドキドキさせられてます。それでもきっちり発売するのがすごいところであり、評価の対象でもあり、逆にコレに関してはAXL側も自信があるのか、マスターアップ告知の際にはこのことすらネタにしてしまうほどです。ただせっかく面白い、楽しい作品に仕上がっても、体験版などの配布がギリギリになってしまうと、そのころには店側の発注数とかの決定がギリギリだったりするであろうことから、自然に初回の出荷量がその後想定される需要を下回るものになってしまうのではないかと思います。これが売切続出の原因だったりするのだろうかと思ったりしますけども、そのあたりどうなんでしょう。これが解消されれば売上面のランキングでももっと伸びてさらなる高みへと上っていけるのではないでしょうか。

今後も当サイトはAXLとせのぴーを熱狂的に応援し続けます。



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