普段、縞パンわっしょいだの美少女文庫おいしいですだの書いてばかりの当ブログではありますが、中の人の本業は書店員であり仕入れ担当(バイヤーで通じるのかなというのもあるのでこういう書き方をしてます)です。
先般、以下のような報道がありました。
■アマゾン:印刷工場から本を直接納入 新事業 - 毎日新聞
要約すると、「取次(問屋)をはさむことで生じる客先までの調達・配送時間のロスがAmazon側からすると我慢ならんレベルだから主要な印刷会社と話しつけて一部の商品を直接Amazonの倉庫に入れてもらうことにしたので出版社も協力してほしい」というものです。
この報道が出る以前から出版物に関わる流通の実態状況については散々取りざたされてきているので細かいところは割愛しますけれども、どうにもこの報道にもあるような「従来からの取次会社を外す動き」といったようなどうにもAmazon側をネガティブに報じているところに疑義を挟まずにはいられないのですよね。
これってすごくいろいろ省いて書くと取次の仕事も自前でやるわってことじゃないですか。
Amazon(書店)向けの本の仕入れをするAmazon(取次)なわけですよ。
取次自体これまでかなり業界内の淘汰が進んで絞られた数になってきている中で取次が1個増えたようなもんとしか思えないんですよね。まぁ大手2社というか最大手の取次は影響受けるでしょうけども。
現状このスキームでの取り扱い商材が「Amazon限定の新刊本」「品切れでも需要が見込める既刊本を数百単位で増刷」で進むとのことなので書店サイドとしては前者のほうが気になるところです。
ただ、すでに限定本を出し始めている書店チェーンがあるのも事実で、コミック担当としてはTSUTAYA限定販売のコミック(ISBN無し)を見た時には「これうちには絶対並ばないのよな」と愕然としたものです。なので、別にAmazonだけが特別なことをしているわけではないのです。後者はこれもう取次のお仕事まんまですよね。まぁ出版社との契約の話もあるのでマージンとかがちょっと変わってくるかとは思いますが。
また、記事の主題でもある「取次外し」自体も今に始まったことではなく、直取引の限定版などもこれまでもあったりするわけで、Amazonがいろんな意味で規模がでかすぎるのと純然たる国内企業とは呼び難い部分もあって風当たりの強い報道になってしまっているなぁという印象です。
そもそもの原因は出版・取次・書店の間にあったこれまでの商習慣があまりにもスピード感に欠けた(再販制度が一因との指摘もありますが)点に尽きるのでは思います。
店頭で品切れで注文承った後に取次バックオーダー発注後入荷が1週間2週間時間がかかるというのも珍しくはない状況なわけですが、注文を承る際にその旨お伝えするとお客に「なんでそんなにかかるんだ!」って言われることは珍しくありません。ってかぶっちゃけその通りよねぇと内心思っとります。遅いです。出版社が出すまでに時間がかかるならまだしも、出版社が取次に出してから届くまでに大冒険してきました〜かのような日数がかかってることがまぁあります。一概には言えませんけどね。(※注 取次の倉庫にもともと在庫がある場合は発注後2〜3日でお店に届きます)
書店側もジレンマを感じ続けていたこの課題に対して、アメリカでの商習慣とのあまりの違いに見切りをつけて「じゃあ自分でなんとかするわ」ができるだけの規模と体力があってこそできる力業に対して、ある意味うらやましさすら感じるわけですが、先に挙げた今回のこのスキームで対象の条件が拡大に拡大を続けると最終的には新刊既刊含めた諸々、ほぼ取次がやってることと同じこととさほど変わらないことをするわけで”取次Amazon(仮)”の完成になりますし、出版社側がそれぞれこのあとどう出てくるかによっては大きく変わってくるかと思います。
ちなみにこれまでも出版社によってはイロイロとありましたし営業さんからたまにネガティブな印象の話を聞いたりとかもしている現状、Amazon側がそう易々と事を進めれるとも思ってはいないのですが…。
(関連:書籍販売:出版社との直接取引拡大 アマゾン流に揺れる出版流通 - 毎日新聞 )
ここまでの話、正直なところかなり飛躍した話だというのは百も承知ですが、今回の報道を見て思ったのはAmazonが取次仕事まで自前でやるんだったらそれに乗っからせてもらう手もゼロじゃないんじゃないかな?と思うわけで、これまた極端な話共同仕入れの枠組みができてそれに入れてもらうとか。飛躍しまくってるなぁと思いながら書いてますが、AmazonがAmazonなだけに可能性はゼロではないんじゃないかなぁと思えてしまうのもまたすごい。現在の取次の配本システムの不満点とかもAIでなんとかしちゃいそう・・・
ちなみにAIといえばつい先日DNPのAI活用スキームの記事が出てましたね。これを活用すると少しはスピードアップがなされるのだろうか。
とにかく、おそらくですが、旧来の日本の出版流通上の商習慣の大転換点の上に今まさに立っているのではなかろうかと、これだけは本当に思っているわけで、このあとの流れの乗り方を間違えたら自分自身あっさりコケてしまいそうな気がします。本当にいろんな意味に出「本」を売ることの難しさを痛感させらている今日この頃です。
ただ、今の自分には面白い商品をしっかり仕掛けて売り伸ばして作品を育てて、みんなハッピーになれるように企画と仕入れをただただ頑張るのみです。
先般、以下のような報道がありました。
■アマゾン:印刷工場から本を直接納入 新事業 - 毎日新聞
要約すると、「取次(問屋)をはさむことで生じる客先までの調達・配送時間のロスがAmazon側からすると我慢ならんレベルだから主要な印刷会社と話しつけて一部の商品を直接Amazonの倉庫に入れてもらうことにしたので出版社も協力してほしい」というものです。
この報道が出る以前から出版物に関わる流通の実態状況については散々取りざたされてきているので細かいところは割愛しますけれども、どうにもこの報道にもあるような「従来からの取次会社を外す動き」といったようなどうにもAmazon側をネガティブに報じているところに疑義を挟まずにはいられないのですよね。
これってすごくいろいろ省いて書くと取次の仕事も自前でやるわってことじゃないですか。
Amazon(書店)向けの本の仕入れをするAmazon(取次)なわけですよ。
取次自体これまでかなり業界内の淘汰が進んで絞られた数になってきている中で取次が1個増えたようなもんとしか思えないんですよね。まぁ大手2社というか最大手の取次は影響受けるでしょうけども。
現状このスキームでの取り扱い商材が「Amazon限定の新刊本」「品切れでも需要が見込める既刊本を数百単位で増刷」で進むとのことなので書店サイドとしては前者のほうが気になるところです。
ただ、すでに限定本を出し始めている書店チェーンがあるのも事実で、コミック担当としてはTSUTAYA限定販売のコミック(ISBN無し)を見た時には「これうちには絶対並ばないのよな」と愕然としたものです。なので、別にAmazonだけが特別なことをしているわけではないのです。後者はこれもう取次のお仕事まんまですよね。まぁ出版社との契約の話もあるのでマージンとかがちょっと変わってくるかとは思いますが。
また、記事の主題でもある「取次外し」自体も今に始まったことではなく、直取引の限定版などもこれまでもあったりするわけで、Amazonがいろんな意味で規模がでかすぎるのと純然たる国内企業とは呼び難い部分もあって風当たりの強い報道になってしまっているなぁという印象です。
そもそもの原因は出版・取次・書店の間にあったこれまでの商習慣があまりにもスピード感に欠けた(再販制度が一因との指摘もありますが)点に尽きるのでは思います。
店頭で品切れで注文承った後に取次バックオーダー発注後入荷が1週間2週間時間がかかるというのも珍しくはない状況なわけですが、注文を承る際にその旨お伝えするとお客に「なんでそんなにかかるんだ!」って言われることは珍しくありません。ってかぶっちゃけその通りよねぇと内心思っとります。遅いです。出版社が出すまでに時間がかかるならまだしも、出版社が取次に出してから届くまでに大冒険してきました〜かのような日数がかかってることがまぁあります。一概には言えませんけどね。(※注 取次の倉庫にもともと在庫がある場合は発注後2〜3日でお店に届きます)
書店側もジレンマを感じ続けていたこの課題に対して、アメリカでの商習慣とのあまりの違いに見切りをつけて「じゃあ自分でなんとかするわ」ができるだけの規模と体力があってこそできる力業に対して、ある意味うらやましさすら感じるわけですが、先に挙げた今回のこのスキームで対象の条件が拡大に拡大を続けると最終的には新刊既刊含めた諸々、ほぼ取次がやってることと同じこととさほど変わらないことをするわけで”取次Amazon(仮)”の完成になりますし、出版社側がそれぞれこのあとどう出てくるかによっては大きく変わってくるかと思います。
ちなみにこれまでも出版社によってはイロイロとありましたし営業さんからたまにネガティブな印象の話を聞いたりとかもしている現状、Amazon側がそう易々と事を進めれるとも思ってはいないのですが…。
(関連:書籍販売:出版社との直接取引拡大 アマゾン流に揺れる出版流通 - 毎日新聞 )
ここまでの話、正直なところかなり飛躍した話だというのは百も承知ですが、今回の報道を見て思ったのはAmazonが取次仕事まで自前でやるんだったらそれに乗っからせてもらう手もゼロじゃないんじゃないかな?と思うわけで、これまた極端な話共同仕入れの枠組みができてそれに入れてもらうとか。飛躍しまくってるなぁと思いながら書いてますが、AmazonがAmazonなだけに可能性はゼロではないんじゃないかなぁと思えてしまうのもまたすごい。現在の取次の配本システムの不満点とかもAIでなんとかしちゃいそう・・・
ちなみにAIといえばつい先日DNPのAI活用スキームの記事が出てましたね。これを活用すると少しはスピードアップがなされるのだろうか。
とにかく、おそらくですが、旧来の日本の出版流通上の商習慣の大転換点の上に今まさに立っているのではなかろうかと、これだけは本当に思っているわけで、このあとの流れの乗り方を間違えたら自分自身あっさりコケてしまいそうな気がします。本当にいろんな意味に出「本」を売ることの難しさを痛感させらている今日この頃です。
ただ、今の自分には面白い商品をしっかり仕掛けて売り伸ばして作品を育てて、みんなハッピーになれるように企画と仕入れをただただ頑張るのみです。